
近年、普段使用していた漁業無線から、衛星電話へ切り替える漁業関係者が急増しています。
その理由は、2021年6月と2022年4月に北海道・知床半島沖で発生した、乗客乗員計26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ ワン)」の沈没事故が大きく関係しています。
沈没事故が起きる数日前、船長が通信手段を衛星電話から携帯電話へと切り替えていたことが判明しています。
結果として、それが大きな事故の原因となってしまったのである。
事故現場周辺は、携帯電話が圏外となっていたため、命綱であった通信手段が使えない状況だった。
この沈没事故を受けて、今後の通信手段の見直しが進み、携帯電話や漁業無線のみではなく、衛星電話への切り替え、または新しく導入をしている漁業関係者が急増しているというわけです。
漁業無線は、基本的に陸上の基地局に依存しているため、海上や僻地での通信が不安定になることがあります。
これに対して、衛星電話は宇宙にある人工衛星を使って通信を行うため、海上や山間などの通信インフラが整っていない場所でも利用できます。
また、衛星電話は一般的な回線とは独立した通信インフラを利用するので、災害時にもつながりやすいメリットがあります。
これは、漁業無線が災害時に影響を受けやすい陸上の基地局に依存していることと対照的です。
さらに、個人用の衛星電話も増えてきており、誰でも利用が可能になっています。
これにより、より多くの方々が衛星電話の利便性を享受できます。
衛星電話を利用することで、漁業においても衛星データを利用した漁場情報などが提供されることがあり、漁業の効率が向上し、収益性も向上する可能性もあります。
総合的に見て、衛星電話は通信の安定性や災害時の対応力、漁業における情報提供などの点で、漁業無線よりも優れているため、導入が急増しているのです。