
今日からできる4つの災害対策の1つ目「過去の大災害の事例を具体的に知り、それらの対策方法を従業員に共有する」ですが、熊本地震で具体的にどんな被害が起きたのかを学んでいきましょう。
熊本地震から学ぶ
熊本地震(くまもとじしん)は、2016年4月14日に熊本県熊本市を中心に発生した地震です。
主な地震は、同日熊本県熊本市南部を震源とするM6.5の地震でしたが、その後1週間以上にわたって、多くの余震が発生しました。
この地震により、熊本県内で多数の死傷者が出たほか、住宅・商業施設・公共施設などの建物や道路などに被害が発生しました。
具体的な被害状況は以下の通りです。
- 死者:49人
- 重傷者:3,594人
- 軽傷者:10,056人
- 全壊:3,492棟
- 半壊:9,716棟
- 軽微壊:33,496棟
- 床上浸水住宅:2,572棟
- 住宅火災:3棟
- 崩落・倒壊・損壊した道路橋梁:1,344カ所
- 崩落・倒壊・損壊したトンネル:20カ所
- 鉄道被害:総武線、鹿児島本線、九州新幹線などで運転見合わせや運休が発生
- 道路被害:熊本自動車道などで大規模な崩壊や土砂崩れが発生
- 損壊した熊本城:天守閣の石垣などが崩れ、重要文化財なども被害を受けました。
以上のように、熊本地震は広範囲にわたって大きな被害をもたらし、復旧・復興には多大な時間と労力が必要でした。
地震による被害
・建物や道路の被害
熊本地震では、建物や道路などのインフラにも大きな被害が発生しました。
建物の被害
- 全壊:3,492棟
- 半壊:9,716棟
- 軽微壊:33,496棟
道路の被害
- 車両通行不能箇所:29か所
- 通行規制箇所:90か所
- 交通量規制箇所:38か所
また、熊本市内では地盤沈下が発生し、複数の住宅地域で大規模な地盤沈下が確認された。
さらに、熊本県山鹿市にある高速道路の天草熊本空港線では、総延長1.5キロメートルにわたって道路が沈下するなど、交通インフラにも大きな被害が出た。
・交通機関の被害
鉄道
熊本地震により、JR九州鹿児島本線や豊肥本線などで、線路の被害や車両の脱線が発生し、一時的に全線運休するなど、大幅な運休・運転見合わせが続いた。
その後、復旧工事が進められ、5月21日には全線復旧が実現しました。
被害総額は約1,340億円。
道路
熊本地震により、国道3号線や国道57号線、県道など多くの道路で被害が発生し、交通規制が行われるなどの影響が出ました。
特に、阿蘇山周辺の道路では、地盤の崩落や道路の陥没、土砂崩れなどが多数報告され、大幅な通行規制が続きました。
また、被害に伴い、国土交通省九州地方整備局による復旧工事が進められました。
被害総額は約1,240億円。
空港
熊本地震により、熊本空港では、滑走路や誘導路などに被害が発生し、一時的に全面閉鎖された。
その後、一部の路線が運航を再開するなど、徐々に復旧が進められた。
被害総額は約110億円。
震度7
熊本地震は、最大震度7を記録した大規模な地震でした。
具体的には、震度7を記録した熊本県益城町の宇土地区を中心に、熊本県南部地域や大分県、宮崎県、福岡県など広い範囲で震度5弱以上を観測しています。
熊本地震から学ぶ対策方法
熊本地震の発生後、防災対策が急がれました。
難易度が高い物もありますが、具体的には以下のような対策が効果的です。
防災教育の徹底
災害に備えてはじめに考えることは、防災教育の徹底です。
熊本地震でも地震の揺れを感じた後に、安全な場所へ避難することが求められました。
そのためには、地震の基本的な知識や行動指針を広く浸透させることが必要です。
地震や災害に備えた防災教育は、幼児期から学校や地域での啓発、家庭での備えなど、多方面で取り組むことが大切です。
家屋の耐震化
熊本地震では、住宅やビルの倒壊が多く発生し、被害が拡大しました。
家屋の耐震化は、地震による被害を軽減するためには欠かせないものです。
耐震化には、新築時の設計段階での耐震性の向上や、既存建築物の耐震診断・補強などがあります。
情報の共有と伝達
熊本地震では、情報共有や伝達の面で問題が生じました。
災害時には、迅速かつ正確な情報を共有することが必要です。
自治体や関連機関が適切な情報を提供することに加えて、市民自身も情報収集・共有の意識を高め、相互に情報を伝達することが重要です。
社会基盤の強化
災害時には、社会基盤が対応能力を発揮することが必要です。
道路や橋、ダム、水道などの社会インフラの耐震化・強化に取り組むことが求められます。
また、電力・通信・交通機関などのインフラがストップすることで、さらなる深刻な被害を招くこともあります。
これらのインフラの強化は、災害時に人命を守るために欠かせないものです。
防災用品の備蓄
災害時に必要となる食料や水、医薬品などの防災用品を備蓄することが大切です。
また、非常用持ち出し袋の準備や、家族の連絡方法の確認なども重要です。
通信手段の確保
電話回線がパンクしている場合が多いので、携帯電話、スマートフォン、公衆電話以外の通信手段、無線機・衛星電話などを確保しておく。
これらの対策により、熊本地震以降、地震災害に対する防災対策が強化されています。
以上のように、地震に備えた備蓄や建物の耐震性の向上、地震発生時の適切な行動や情報収集、交通手段や通信手段の確保などが、熊本地震から学べる対策となります。