目次
はじめに
地震や台風などの自然災害、僻地での業務、船舶での運航。
「携帯電話が圏外になる場面」では、唯一の通信手段となるのが衛星電話です。
2025年現在、船舶関連の規制強化やBCP(事業継続計画)の観点から、法人・自治体・個人の間で需要が急増しています。
本記事では、最新の衛星電話の種類・料金・導入事例をまとめ、初めて導入を検討する方でも失敗しない選び方を徹底解説します。
結論|衛星電話は「用途」で選ぶのが最重要
- 災害対策や法人利用 → IsatPhone2(インマルサット)
- 海上・山岳など安定通話重視 → Iridium 9555 / Extreme 9575
- 短期利用・イベント・検査対応 → レンタルが最適
つまり、機種や契約形態よりも「どの場面で・どのくらい使うのか」を明確にすると、最適な選択肢が見えてきます。
衛星電話の仕組みと特徴
地上携帯との違い
- 携帯電話:地上の基地局を経由
- 衛星電話:静止衛星 or 周回衛星を経由
→ 電波の届かない山間部・海上・災害時でも通信可能
メリット
- 圏外がない(地球上ほぼどこでも通信可能)
- 災害時の「最後の命綱」になる
デメリット
- 月額費用が高め(7,500円〜11,000円程度)
- 通信速度は低速(音声通話がメイン)
- アンテナを立て、空を見通せる場所が必要
最新主要機種の比較(2025年版)
機種 | 特徴 | 利用エリア | 価格目安 | 主な利用者 |
Inmarsat IsatPhone2 | コストパフォーマンスに優れ、災害対策に定番 | 赤道周辺を中心に全世界 | 端末18万円前後、月額7,500円 | 自治体、法人、防災 |
Iridium 9555 | 周回衛星ネットワークで世界中どこでも安定通話 | 地球全域(極地含む) | 端末21万円前後、月額9,600円 | 船舶、建設業、国際利用者 |
Iridium Extreme 9575 | 防水・耐衝撃仕様、GPS搭載 | 地球全域 | 端末25〜30万円、月額9,600円〜 | 海外派遣、軍・防災機関 |
旧機種 IsatPhone PRO | 廉価でレンタル向き | インマルサットカバーエリア | レンタル専用 | 検査・短期イベント |
料金体系とコスト感
① 購入する場合
- 端末代金:18〜30万円
- 初期登録料:6,000円前後
- 月額基本料:7,500〜11,000円(キャリア・プランによる)
3年間運用すると総額は 約40〜50万円。
法人・自治体・船舶など、長期利用なら購入が有利。
② レンタルする場合
- 短期:1日 数千円~数万円
- 1か月:数万円~数十万円
- 通信料:1分あたり150円~300円
船舶検査やイベント、登山遠征など、スポット利用ならレンタルが圧倒的に安い。
導入事例(2025年版)
災害対策で最も重要なのは「通信の二重化」です。
衛星電話で確実な音声通話を確保しつつ、Starlink Miniでデータ通信を補完することで、
停電・回線断・基地局障害といった多様なリスクにも対応できます。
下記の図は、BCP体制における通信二重化のイメージを示しています。
自治体
- 災害用備蓄として100台規模を導入する。
- 「災害時に職員が確実に連絡できる体制」を整備する。
船舶業界
- 国交省のAIS義務化により、衛星電話を検査用として同時導入。
- 沿岸から離れる漁船・貨物船はほぼ必須化。
建設・インフラ企業
- 山間部の現場事務所で衛星電話+Starlink Miniを併用。
- 音声通話は衛星電話、データ通信はStarlink。
医療・ホテル・観光業
- 災害発生時の連絡体制を重視し、バックアップ通信手段として設置。
衛星電話を選ぶときのチェックポイント
衛星電話の選び方で迷ったら、利用目的から逆算するのが最も効率的です。
災害備蓄や自治体利用ならコスト効率に優れたIsatPhone2、
海上や海外なら世界全域で使えるIridium、
検査やイベント対応ならレンタルが最適です。
さらにデータ通信まで必要なら、Starlink Miniを併用することでBCP体制を強化できます。
下記のフローチャートを参考に、自社に合った選択肢を判断してください。
- 利用目的:災害対策/船舶/アウトドア/海外派遣
- 利用頻度:年1回の検査か、常時使用か
- エリア:赤道周辺メインならInmarsat、全地球ならIridium
- 契約形態:購入かレンタルか
- サポート体制:導入後のトラブル対応や24時間サポートの有無
まとめ
2025年の衛星電話市場は、災害・船舶・法人利用を中心に急拡大しています。
結論としては――
- 常用・長期利用 → 購入(IsatPhone2 / Iridium)
- スポット利用・検査対応 → レンタル
- データ通信も必要 → Starlink Miniとの併用
導入の失敗を避けるには、「誰が・どこで・どのくらい使うのか」を明確にすること。
これを押さえれば、最適な衛星電話を選べるはずです。