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東日本大震災から学ぶ防災対策
東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)は、2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の地震による津波と、それに伴う福島第一原子力発電所事故によって引き起こされた大災害。
震源地は東北地方太平洋沖で、岩手県、宮城県、福島県を中心に広範囲にわたって大きな被害が発生。
地震と津波の影響で1万5000人以上が死亡し、2万人以上が行方不明となりました。
さらに、福島第一原発では原子炉の燃料棒の溶融や爆発が発生し、周辺住民に影響を及ぼす放射性物質が放出されました。
東日本大震災は、日本史上最大の災害の一つであり、その影響は現在も続いています。
東日本大震災によって起きた被害内容は、大きく分けるとこの3つになります。
・地震による被害
・津波による被害
・原発事故による被害
この3つの被害をもっと具体的に解説していきます。
地震と津波による被害
・建物や道路の被害
地震と津波によって約12.1万棟が完全に倒壊し、約24.6万棟が半壊、約71.5万棟が一部損壊した。
多くの避難所が設置され、ピーク時には約47万人が避難生活を送った。
・交通機関の被害
鉄道は東北新幹線を含む多くの路線が被害を受け、一部区間では線路が寸断された。
道路は約2,400箇所で寸断され、復旧には長期間を要した。
空港では、仙台空港が津波によって大きな被害を受け、運行が一時的に停止しました。
・その他の被害
約450万世帯が停電、約260万世帯が断水し、約190万世帯がガス供給が停止。
携帯電話や固定電話の通信も一時的に途絶し、情報伝達が困難となった。
震度7
震度7は、建物倒壊や地盤の破壊などが発生し、非常に大きな被害をもたらす強い揺れの震度です。
震度7は日本の震度階級で最高レベルであり、この震度に達する地震は非常に稀。
東日本大震災では、震度7の揺れを観測した地域が福島県、宮城県、岩手県など多くあり、広範囲にわたって大きな被害が発生しました。
津波40メートル
東日本大震災の津波の高さは、最大で40メートルほどを記録。
この津波は、東北地方太平洋沖を震源とするマグニチュード9.0の地震によって引き起こされ、沿岸部に甚大な被害をもたらしました。
津波による被害は、福島県、宮城県、岩手県などの沿岸部において特に甚大で、多くの人々が犠牲となりました。
このような大規模な津波被害は、日本史上でも前例がなく、その規模は世界でも稀有なものでした。
東日本大震災から学ぶ対策方法
東日本大震災による被害を未然に防ぐためには、地震や津波に備えた適切な対策が必要です。
難易度が高い物もありますが、具体的には以下のような対策が効果的です。
適切な建物の設計
耐震補強 地震の際に建物が倒壊しないよう、耐震性を考慮した設計や補強が必要です。
また、津波に備えて高台に建物を建てる、津波に強い構造の建物を建てるなどの対策が必要です。
防災用品の備蓄
災害時に必要となる食料や水、医薬品などの防災用品を備蓄することが大切です。
また、非常用持ち出し袋の準備や、家族の連絡方法の確認なども重要です。
適切な情報の収集伝達
地震や津波などの自然災害に備えるためには、適切な情報収集と伝達が必要です。
地震発生時には速やかに情報を収集し、適切な情報を発信することが重要です。
避難訓練の実施
地震や津波の発生時に迅速に避難するためには、避難訓練の実施が必要です。
地域ごとに避難場所や避難経路を確認し、避難訓練を実施することで、災害発生時に冷静かつ迅速に行動することができます。
通信手段の確保
電話回線がパンクしている場合が多いので、携帯電話、スマートフォン、公衆電話以外の通信手段、無線機・衛星電話などを確保しておく。
これらの対策に加えて、地震や津波などの自然災害に備えるためには、日頃から災害意識を高め、対策を徹底することが必要です。
といったように、東日本大震災の概要と防災対策をまとめお伝えしましたが、ここからは、こういった災害時に企業はどのような準備をしておかなければならないのかを例を挙げながらお伝えいたします。
BCP(事業継続計画)の基本概念
BCPとは、災害や緊急事態において事業を継続するための計画。その目的と重要性。
BCPは、企業の危機管理に不可欠な要素で、災害や緊急事態は予期せぬ形で発生し、事業の継続は企業の存続に直結します。
東日本大震災で大きな被害が出たのにもかかわらず、迅速に事業を再開した有名な企業を3つご紹介します。
- オイルプラントナトリ: 津波で工場が壊滅的被害を受けたにもかかわらず、非常用発電機を使用し、情報収集した結果、社員を安全な場所へ避難させ、BCPの発動により約1週間後に事業を再開しました。
- 皆成建設: 本社が使用不能になった後も、駐車場にベースキャンプを設置し、被災1時間後から活動を再開。非常用発電機による情報収集と迅速な対応で事業を継続しました。
- 日本銀行盛岡事務所: 県内の金融機関への現金供給を継続しました。非常用発電機と災害時優先電話の設置が役立ち、情報収集と伝達の重要性を示しました。
といったように、BCPの策定と実施は、企業が危機に対処するための基盤を築きます。
BCP策定の必要性
なぜBCPが必要なのか、BCPと単なる防災対策の違いについて。
BCPは単なる防災対策を超え、事業の継続性を保証するために必要なものです。
防災対策は被害を軽減するが、BCPは事業の継続を目指し、緊急時における事業継続は、顧客の信頼維持にもつながるのです。
わかりやすく防災対策とBCPを比較してみます。
- 目的
- BCP: 企業や組織が災害や緊急事態に直面した際、重要業務の継続を確保し、損害を最小限に抑えることを目指す。
- 防災対策: 一般的に、人命を守ることや物理的な被害を防ぐことに重点を置く。
- 焦点
- BCP: 緊急時の事業活動の継続を計画し、それに必要なリソースや手順を定めます。
- 防災対策: 災害発生時の安全確保や初期対応に重点を置きます。
- 範囲
- BCP: 事業全体にわたる影響を考慮し、従業員、顧客、サプライチェーン(商品やサービスの供給元)などを含めた事業運営に必要な全て。
- 防災対策: 主に物理的な安全確保や緊急時の避難計画に焦点を当てる。
BCPは、危機時における企業のレジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)を高める重要なツールなのです。
策定手順と要点
BCP策定の流れ、重要な活動や行動の手順。
効果的なBCP策定は、明確な手順と計画性が必要です。
BCPの策定には、様々なリスクの分析と対策が含まれ、事業の継続計画は、潜在的なリスクに基づいて構築される。
企業による具体的なBCP(事業継続計画)策定事例を2つご紹介します。
- 大草薬品株式会社(製造業)
- 事業継続検討委員会(災害対策本部)を設置。
- 備品や薬品の保管方法の改善。
- 従業員の初動訓練と避難計画の周知徹底。
- 製造場所の破損対策を行い、GMP基準(適正製造基準)を満たした製造の再開を目指す。
- 小熊建設株式会社(建設業)
- 情報のバックアップを2台の外付けHDDとクラウドに保存。
- 災害時の資機材の確保と管理。
- 発電機や工具の予備、燃料、バッテリーの備蓄。
- 災害時に影響を受けない代替拠点の設置。
- 「災害対策本部」の設置と体制の整備。
- 年2回のBCP訓練を実施。
明確な策定手順に従うことで、BCPはより効果的になります。
BCPの目的とメリット
緊急時の被害を最小限に抑え、企業の重要業務を中断せずに、事業を継続すること。
BCPは企業のリスク管理において中心的な役割を果たします。
緊急事態が発生した際に、事業の中断を最小限に抑えることができ、顧客や従業員の信頼を維持し、企業のイメージを保護する。
実例:株式会社藤崎(仙台市の百貨店)
- 東日本大震災で震度6弱の地震に見舞われるも、事前の防災訓練に基づいて迅速に対応。
- 店内の約3500人の買物客を速やかに避難させ、負傷者を出さずに安全確保。
- 災害翌日から路上で食料や生活用品の販売を再開し、復旧作業を迅速に行い、4月末には全面営業再開。
- 定期的な防火・防災訓練と過去の震災経験から学んだ対策が功を奏した。
このようにBCPは、緊急時の混乱を最小限に抑え、事業の安定性を確保します。
目的を果たすには、事前の準備と迅速な対応が、緊急事態時の業務継続において重要であることがわかります。特にBCPの策定と従業員の訓練が、危機管理における重要な役割を果たしているのです。
BCP対策についてよくわからない場合は相談してみることが大切
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