お役立ちコラム

防災産業展2026で見えた真実 DX時代でも「最後に頼られる通信」は何か?

防災産業展2026では、「防災・減災によるレジリエンス社会の実現」をテーマに、数多くの防災関連製品・サービスが展示されました。
DX、防災クラウド、安否確認システム、ドローン、蓄電池など、多様な技術が集結し、防災がすでに「導入」ではなく、「運用・実装」のフェーズに入っていることを強く印象づける展示会でした。

一方で、会場を見て回る中で、ある共通した前提条件にも気づかされました。
それは、「通信が使えることが前提になっている」という点です。


防災DXは「通信が生きていれば」成立します

防災産業展2026で注目を集めていた分野の多くは、通信を前提としています。

  • クラウド型防災システム
  • 従業員安否確認サービス
  • 遠隔監視・センサー
  • ドローンによる被災状況把握
  • 災害情報のリアルタイム共有

いずれも防災において重要な技術であり、実際の災害対応や平時の備えとして有効な手段です。
しかし同時に、これらはすべて 「通信が機能していること」 を前提に成立しています。

ここで、あらためて考える必要があります。
大規模災害時、本当に通信は最後まで残るのでしょうか。


災害時、最初に失われやすいのは通信インフラです

多くのBCPでは、電源の確保や人員体制、初動対応については検討されていますが、
「通信が完全に断たれた状態」を具体的に想定しているケースは、決して多くありません。

実際の大規模災害では、携帯基地局や光回線といった地上インフラが最初に影響を受け、
スマートフォンやクラウドサービスが使えなくなる状況が発生します。

このような環境下でも通信手段として機能するのが、
地上インフラに依存しない衛星電話です。

過去の大規模災害を振り返ると、次のような事例が繰り返し発生しています。

  • 携帯基地局の停電・倒壊
  • 光回線の断線
  • 回線混雑による通信制限
  • クラウドサービスにアクセスできない状況

災害時において、通信は「最後まで残るインフラ」ではありません。
むしろ、真っ先に影響を受けやすい要素の一つです。

防災産業展2026の展示においても、
「通信が完全に断たれた状態」を前提に、どこまで対応できるかという視点で語られるケースは、決して多くありませんでした。


そこであらためて注目される「衛星電話」

こうした前提を覆す通信手段として、近年あらためて評価されているのが衛星電話です。

衛星電話は、

  • 地上の携帯基地局に依存しない
  • 光回線を必要としない
  • 広域災害や停電下でも通信が可能

といった特長を持っています。

つまり、
地上インフラが大きな被害を受けた状況でも、単独で機能する通信手段であること
これこそが、衛星電話の最大の価値です。

これは、防災産業展2026で語られていた
「複数のレイヤーで備えるレジリエンス」という考え方とも、非常に親和性が高いと言えるでしょう。


「衛星電話は昔の装備」という誤解

衛星電話に対しては、今なお次のようなイメージを持たれることがあります。

  • 官公庁や一部の特殊機関向けのもの
  • 操作が難しく、古い技術
  • コストが高く、現実的ではない

しかし、現在の実情は大きく異なります。

  • 民間企業や法人での導入が増加
  • BCP用途としての採用が拡大
  • レンタルや短期利用など柔軟な導入形態

「万が一の際に確実につながる通信手段」として、
衛星電話は 現実的かつ実務的な選択肢 になりつつあります。


Starlinkとの関係をどう考えるべきか

近年、防災分野で注目されている通信手段としてStarlinkがあります。
高速通信や大容量通信が可能で、クラウド活用との相性も良く、
災害後の通信環境を 「復旧・拡張」する手段 として非常に有効です。

一方、衛星電話は、通信が完全に失われた状況でも、
最低限の連絡を確保する役割 を担います。

防災産業展2026で示されていたのは、
一つの通信手段に依存しない、「重ねて備える」BCPの考え方でした。

※BCPでは、高速なデータ通信と確実な音声通信を、役割分担で備えることが重要です。

ここで、あらためて役割を整理してみます。

Starlink
 通信環境を復旧・拡張するための手段

衛星電話
 通信が完全に失われた状況でも最低限の連絡を確保する手段

どちらが優れているかという話ではありません。
役割が明確に異なる のです。

Starlinkと衛星電話は対立するものではなく、
BCPにおいては 補完関係にある通信手段 と捉えるべきでしょう。


BCPで最終的に問われるのは「連絡が取れるかどうか」

BCPにおける通信対策は、
「すべての通信を一度に復旧させること」ではありません。

災害直後に最優先されるのは、
人命の確保と、指揮命令に直結する通信です。

この優先順位を誤ると、
どれだけ設備やシステムが整っていても、
実際の災害対応では機能しないBCPになってしまいます。


優先度④:通常業務・情報発信は「最後でよい通信」

BCPにおける通信対策で、誤解されやすいのが
通常業務に関わる通信の位置づけです。

具体的には、次のような通信が該当します。

  • クラウドの本格運用
  • メール対応
  • オンライン会議
  • WebサイトやSNSの更新

これらは、平常時には欠かせない業務通信ですが、
災害発生直後に最優先すべき通信ではありません。

優先度④:通常業務・情報発信

  • クラウド
  • メール
  • オンライン会議
  • Web・SNS更新

主な通信手段

  • Starlink
  • 地上回線(復旧後)

これらの通信は、
人命・指揮命令・業務再開に関わる通信が確保された後段階で、
段階的に復旧を進める位置づけとなります。


災害発生時、
誰が、
どこに、
確実に連絡できるのか。

この問いに対して、
「携帯電話があるから大丈夫」
「おそらく問題ない」
といった前提では、もはや十分とは言えません。

通信が使えなくなることを前提に、
それでも残る連絡手段が何かを明確にしておくこと。

防災産業展2026は、
その現実を、派手な表現ではなく、
静かに、しかし確実に示していた展示会だったと感じます。


まとめ:通信が止まる前提で考える防災へ

防災DXやクラウド技術は、今後も進化を続けていきます。
Starlinkのような新しい通信技術も、防災の可能性を広げる重要な存在です。

しかし、それらすべての基盤となるのが通信です。

通信が止まる前提で考え、
それでも残る手段を確保しておくこと。
その選択肢の一つが、衛星電話です。

防災産業展2026は、
「防災は理想論ではなく、最後に残る現実を想定して設計すべきである」
というメッセージを、私たちに投げかけているのではないでしょうか。

ここまでお読みいただき、
自社のBCP通信体制について、少しでも気になる点があれば、
それは見直しのタイミングかもしれません。

衛星電話が必要かどうかは、
業種・拠点数・災害リスク・既存設備によって大きく異なります。

重要なのは、
「何を導入するか」ではなく、
通信が完全に止まったとき、誰と誰が確実につながるのかを設計できているかどうかです。

・何台あれば足りるのか
・Starlinkとの役割分担はどうするべきか
・購入とレンタル、どちらが適しているか
・既存のBCPにどう組み込むか

こうした点は、カタログだけでは判断できません。

まずは現状を整理するところからで構いません。
具体的な導入を前提としないご相談でも問題ありません。

下記フォームより、お気軽にご相談ください。

    必須ご利用区分

    任意会社名(団体名)

    必須お名前

    必須メールアドレス

    任意電話番号

    必須ご相談内容

    任意ご相談内容(詳細)



    関連情報


    アマチュア無線アンテナの撤去ガイド|放置リスクと安全な対策・費用を徹底解説

    第1章|「まだ大丈夫」が命取りになる前に 【結論】 使わなくなったアマチュア無線アンテナを、「そのうち撤去しよう」と放置していませんか? 実はそのままにしておくことで、倒壊や感電など、重大事故につながるリスクがあります。 老朽化が進む前に、専門業者に依頼して安全に撤去することが最も確実です。 【根拠】 設置から20年以上が経過したアンテナでは、支柱やボルトの腐食が進み、台風や積雪で倒壊する危険性が高まります。 国土交通省の報告によると、老朽化設備の落下事故が全国で多発しており、アンテナや看板がその代表例で ...

    イリジウム衛星携帯電話が2023年1月1日から月額基本料を改定。サービス領域の拡大と品質向上のための値上げで、主に音声通話、IoT、ブロードバンドサービスの強化を目的としています。
    イジリウム衛星電話が月額基本料の値上げを発表

    イリジウムの衛星携帯電話が2023年1月1日より月額基本料を改定すると発表。 イリジウム衛星電話が月額基本料を値上げした理由は、サービス領域の成長と強化に対応するためで、主に、音声通話、IoT、ブロードバンドといったサービス分野での強化をするため。 2018年以来初めての価格改定。 イリジウム衛星携帯電話の改定前と改定後の価格 イリジウム衛星携帯電話サービス月額基本料(免税) ・プラン1 (無料通信2,000円含む)改定前: 6,900円/月改定後: 10,600円/月(月額3,700円の値上げ) ・プラ ...

    BCP担当者必見!災害時に“最後までつながる”Iridium 9555の導入メリットと事例

    はじめに 日本は世界有数の「災害大国」です。地震・台風・豪雨などの大規模災害時、携帯電話やインターネットが停止し、「社員や家族の安否確認ができない」「取引先への連絡が取れない」といった問題が繰り返し発生してきました。 事業継続計画(BCP)における最大のリスクは “通信断絶”。本記事では、BCP担当者の方に向けて、災害時でも“最後までつながる”通信手段=Iridium 9555 の導入メリットを解説します。 H2-1. BCPにおける通信手段の重要性 災害時に最優先されるのは以下の3点です。 人命の保護・ ...

    【最新版比較】通信障害で1日120万円の損失?衛星電話×StarlinkでBCP対策を最適化!

    第1章|衛星電話とは?スマホとの違いを初心者向けに解説 結論衛星電話は、地上の基地局を介さず、通信衛星と直接接続する“最後の通信手段”です。 理由・根拠スマートフォンは基地局が必要なため、山岳地帯や離島、災害エリアでは圏外になることがあります。一方、衛星電話は上空の通信衛星(主に静止衛星)とダイレクトに通信するため、広範囲で接続可能。地上インフラに依存しない通信手段として注目されています。 活用例 登山中に遭難し、救助を要請 災害直後の自治体による安否確認 離島での定期連絡や業務用通信(例:漁業・簡易診療 ...

    【法人向け】Starlink Mini導入ガイド|BCP・災害対策・現場業務で“止まらない通信”を実現

    はじめに|なぜ今、法人に「Starlink Mini」が必要なのか 災害や通信障害が頻発する近年、「止まらない通信網」を自前で持つことは、もはや大企業だけの課題ではありません。地震・台風・停電などで地上通信が断たれた瞬間、業務は完全に停止します。特に、自治体・医療機関・建設現場・物流拠点などでは、わずか数時間の通信途絶が命や社会機能に直結します。 こうした中、注目を集めているのが 衛星通信サービス「Starlink Mini」 です。BCP対策・現場通信・災害対応の3軸で導入が急増しており、「次世代のバッ ...

    【義務化対策】現場管理者必見!熱中症リスクをリアルタイムで可視化する最新デバイス「AAASWatch Pro」完全ガイド

    はじめに|“気温”だけでは守れない現場の命 2025年7月末、灼熱の夏が日本全国を襲いました。7月30日には兵庫県丹波市で41.2℃を記録し、国内の観測史上最高を更新した。そして、驚愕のことに本日・8月5日には群馬県伊勢崎市でさらに上回る41.6℃に達し、わずか数日で最高記録が塗り替えられましたNippon+2ELEMINIST+2。加えて、全国の観測地点の約3分の1が35℃以上を記録。7月の平均気温は平年を最大で北日本+4.5℃、東日本+2.7℃、西日本+2.2℃上回り、いずれも1946年以降の最高とな ...

    • この記事を書いた人

    防災アドバイザー

    防災アドバイザー。衛星携帯電話や防災用品の販売・コンサルティングに携わりながら、企業・自治体の災害対策を支援。現場に根ざした視点で「本当に使える防災情報」を発信しています。

    -お役立ちコラム